被災地における災害時ボランティア(漢方・鍼灸・マッサージ)報告5月8日分

日時:平成23年5月8日
場所:青葉中学校 (避難者数 約350人), 中里小学校(約100人), 渡波小学校(約380人)
参加人数:18名(医学部学生6名, 赤門学生4名, 鍼灸師4名, 大学教員2名)
施術を受けた方々:184人
診療を受けた方々:16人


5月8日に避難所である青葉中学校(午前)と中里小学校(午後)、渡波小学校(午後)に行き、マッサージボランティア活動と漢方薬の診察処方を行ってきました。今回もたくさんの方々にマッサージや鍼治療を受けていただきました。。

青葉中学校では今回も円皮鍼の需要があり、腰痛・膝痛・便秘などで前回パイオネックスを使用した方々が列をなして再度の治療を希望されていました。非常に効果があり、痛みが円皮鍼を張るだけで和らぐので是非またしてほしい、便秘も張るだけで改善したと何人もの方々がおっしゃっていました。14名の方々に痛点や耳、合谷、足三里などにパイオネックスを張り治療を行ってきました。また、青葉中学校は以前よりも大分清潔が保たれるようになり、シャワーや入浴も適宜行えるようになったとのことでしたので毫鍼による鍼治療(置鍼せず)も数名の方々に行ってきました。

中里小学校では漢方薬の需要がありました。感冒・慢性咳嗽・皮膚掻痒・目やに・不眠などの症状の方々に小青竜湯・麦門冬湯・竹茹温胆湯・六味丸・竜胆瀉肝湯・加味帰脾湯などの処方を行ってきました。中里小学校は家族ごとにパーティションがダンボールで組まれていて、比較的プライバシーが保たれているようでした。

渡波小学校は震災から2ヶ月が経過しようとしている現在でも、まだまだ大変な状況にあると思われます。トイレは仮設トイレ使用で、水の使用も下水が上がるために制限されていました。以前は教室や体育館まで土足で出入りする状況だったそうで、その頃はたくさんの方々が咳をしていたそうです。履き替えを行うようになって大分改善してきたということでしたが、校舎内には土足で入るために土ホコリの掃除が大変そうでした。



以下は今回参加者からの感想や印象の一部です。

◇若いかたで体の痛みを訴える方が多かったように思います◇
お話を伺ってみると、大学・専門学校などが始まり、長時間の通学で疲労がたまるとの訴えでした。 中里のほうでは、咳をされている方が多かったように思います。循環器系の基礎疾患を抱えているかたが数名見受けられ、感冒様症状で病院を受診されたともおっしゃられていました。お身体への負担が気がかりです。

◇午前中の青葉中では大分人が少なくなり、必要な人数も少なくなったように感じました◇
午後の渡波小では、1ヶ月前に見たときよりも外見はきれいになっていましたが、中はまだまだで、 青葉中と比較して衛生面に苦慮しているのが伺えました。マッサージに関しては、需要が多かったです。 自分はおそらく7人担当しました。日中なので人はそれほど多くなかったのですが、 声を掛ければほぼ全員がマッサージを希望され、また来てほしいということも何人にも言われました。
また、野菜不足ということに加え、仮設トイレへの移動が大変ということで水分を摂らず、 便秘の方が実は多いのかもしれません。石巻市街は多くの人が入り、復興も進んでいるように見えましたが、 渡波のほうはまだまだ復興という感じではなさそうです。地盤沈下の影響が色濃く残っています。 次回も渡波方面の渡波小・中、万石浦小・中などへの訪問がいいかもしれません。


◇大人だけでなく子供も身体・精神的に疲れがたまっている◇
今回は渡波小学校にもお伺いしましたが、特に被害の大きかった地区ということもあり、 身体のこり・痛みに加え、睡眠不足・全身倦怠感などの体調不良や将来への不安を訴える方がいらっしゃいました。 また、避難所には子供がたくさんいましたが、子どもの中にもマッサージして欲しいという子がいて、 大人だけでなく子供も身体・精神的に疲れがたまっているのだと思いました。

◇最も印象に残る一日◇
昨日は三回目のボランティアでしたが、被災者の方と一対一で長くお話しする 機会を持てたという点で最も印象に残る一日となりました。
ある中年の男性は、「津波の時に目の前で波に飲み込まれていく女の子を見たがど うすることもできなかった」と語り、その隣にいた男性は「地獄絵図だよ」と話しました。 教室の黒板には「3月11日の時間割」が書かれており、時計は津波到達の時間で止まっている… 避難所の方々は皆驚くほど穏やかでにこにこしているので、お話ししていると楽しくて厳し い現実を忘れてしまいそうになりますが、こうした被害の甚大さに強烈な印象を受けました。
皆さんに笑顔で「おかげさまで楽になりました」と言われても、役に立てて嬉しいという気持ちと、 今の自分にはこれしか出来ないという気持ちが混ざって複雑な心境でした。
また同時に、漢方内科の先生方の被災地の方々とお話しする様子、施術を受けて喜んでいる方々の姿を見て 医師という仕事の素晴らしさを感じ、自分も早く一人前の医師となって人の役に立てるようになり たいと思った一日でした。


◇ボランティア時間のあり方についてもしっかり考慮すべきと痛感◇
各避難所の日中(今回のボランティアをした時間帯)は、大概の人が外作業に当たっており、 避難所内は留守が目立ち、このため、今回、マッサージ等を受けて頂いた人は作業従事をお休みしている人 らが中心で高齢者女性が多く見受けられました。
また、お子様を抱えているお母さんは、就学手続き準備な どが有り時間がとれないと、マッサージを遠慮している方々もいらっしゃいました。一方、マッサージを受け て頂いた皆さんの中には、その効果(スッキリした、楽になった、軽くなったなどの感想)から、作業から 帰って来る夫や家族にも、帰って来たら是非マッサージを受けさせてあげたい…とのつぶやきもあり、 してあげて良かったと思う一方で、応えきれない無力感もありました。
総じて、今回のボランティアをした日中の時間は、日中なりの作業や手続きに追われる皆さんに対しては、 手が届かなく、歯がゆさも感じざるを得ず、ボランティア時間のあり方についてもしっかり考慮すべきこと と痛感しました。


◇初めてのマッサージボランティア参加で感じた勉強してきた事の意義◇
避難所で生活している方は、余震にストレスを感じ、避難所生活で歩く 事が少なくなった高齢の方は、筋力の衰えに不安を感じていました。
また、自宅の瓦礫の片付けで疲労蓄積している方や、団体生活の為風邪をひいている方が多く見られました。 マッサージをしていると津波の時の話や、自宅の片付けがなかなか進まず苦労してる事などご自身から話してくれました。 今回、初めてのマッサージボランティアでしたが皆さんに喜んでもらい、たくさんの笑顔を見ることができ, 今まで勉強してきて本当に良かったと思いました。 一日も早い復興を願っています。


◇続く眠れぬ夜◇
今回私は、青葉小学校及び山里小学校で、按摩や指圧のボランティアを させていただきました。お歳を召した多くの方々が、堅い床の上に申し訳程度の厚みしか無いマットを 敷いただけの場所で、2ヶ月近くも寝泊まりされていらっしゃる様子を見るのは、正直辛いものがありました。
今回私が施術させていただいた方々が口を揃えて仰ってましたが、夜は何かしら騒がしい音が聞こえてくるし、 とてもじゃないが安らかに眠れた物では無い、いつも夜明け近くまで長い時間を過ごし、 それからようやく少しだけ眠ることができるのだ、と語って下さいました。 そんな辛い生活を送ってらっしゃる方々に施術させていただき、そしてうとうとと眠っていただけた時の嬉しさは、 私の自己満足とは思いますが、何だかひと味違う喜びを感じることができました。
避難生活ですからやむを得ない事が多いのは仕方が無いとは思いますが、 今まで日本を支えてきて下さった御高齢の方々が、このような生活を強いられているのは、 とても悲しいことだと思います。一日も早く、改善される事を望まずにはいられませんでした。


◇”待っている”人達◇
継続していくことで、人間的繋がりも含めて"待っている"方々がいらしたようです。 積極的に利用された方たちは震災復旧作業などの作業からくる痛みが多い印象でした。 御年輩の方々は持病などで痛みがあっても遠慮がちでした。今回のように多人数で行けたことで、 その方たちもマッサージを受けて頂けて良かったです。避難所の、地区による状況の差は非常に印象的でした。 地域の環境の復旧が進んでいないと内科的、精神的な症状が多い印象でした。

(文責:東北大学医学部学生6名、赤門鍼灸柔整専門学校学生4名、卒後研修センター 門馬靖武、漢方内科 平野篤・松田綾音・渡部正司・高山真、有朋堂 鈴木琢也)

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