石巻市青葉中学及び福島県会津板下町川西公民館、各避難所での活動

4月10日に石巻市内の避難所でも多くの方々が避難している青葉中学校(避難者数約700人)を訪問し、 マッサージのボランティアと漢方薬の処方を行ってきました。当初の予定では、 医学部学生のボランティア6人と一緒に行く予定でしたが、前々日の余震により交通事情が悪化し 一部連絡も難しくなったため、当科の鍼灸師3人(神谷、松田、平野)と医師1人(高山)の参加となりました。

前日の天候が雨で当日晴れだったこともあり、半数以上の方々は家屋の片付けや復旧活動のため外に出ていて、 避難所には約300人の方々が休まれていました。一昨日の大きな余震で再び津波が襲来するのではと、 海岸付近では急いで逃げた方も多かったそうです。

震災直後の状況を思い出して不安になり、眠れなくなった方、頭がおかしくなりそうと訴える方など、 長引く避難所生活での疲れに加えいまだに続く余震で、精神的・肉体的疲労は限界を超えているように思いました。

また、震災後に復旧した水道が余震で再び使えなくなり、スタッフの方々は衛生面も心配されていました。 当日は我々の他にも散髪のボランティア、コーヒーやお菓子を配っている方々、 アメリカから靴下を持ってきた方々、シンガーソングライターの歌など様々なボランティア活動が行われていました。 もちろん、自衛隊による炊き出しや日本赤十字による医療活動も続いていました。

今回は首や肩周囲のマッサージを主に行う予定で、午前中は学校の相談室の一室をお借りして、 一人15分程度のマッサージを行いました。午後からは各教室や体育館を巡回し、 なかなか動くことができない方々のマッサージも行い、計39名(男性13人、女性26人)の方々にマッサージを受けていただきました。

限られた環境、ストレス、不安などで体全体が堅くなり、首・肩・背中・腰にこりや痛みを 訴える方々がたくさんいました。マッサージが終わるとこりのほぐれとともに、気持ちも少しほぐれたのか、 笑顔で感謝される方々が多かったのが印象的でした。

以下はスタッフの印象と避難者の方々からの感想や反応等です。
-症状-
・強い筋緊張を伴うコリ、圧痛、頭痛。
・足のツリ、不眠、下腿の疲労
・持病(脊柱菅狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、リンパ浮腫、古傷の痛み)の悪化。
・通常のケアができないための症状悪化。
・寝具や狭いスペースからのストレスで寝ても休めない。
・夜に何度も目醒める
・被災まではなかったコリや頭痛がある。
・寝返りも打てず、寒く固いところで昼夜いると腰や背中が痛くなる。
・浸水家屋の片付けが重労働で疲労している。
・気持ちが楽になるかとうけてみた。


-施術による反応と避難者の方々からの感想-
・体も緊張しているんだなとわかった。
・マッサージをうけながら被災体験を話してくれる。
・体が軽くなった。
・気持ちが楽になると思ってうけた。
・色々な人が来てくれるのがありがたい。
・楽になった、また来てほしい。
・以前あった症状が悪化している。
・睡眠薬がほしい。
・かたい床の上ではすぐに凝ってしまう。
・以前にもマッサージ師が来てくれたがそれ以来こない。もっと来てほしい。
・以前診てもらっていた病院がなくなってしまい、同じ治療を受けられるか心配。
・鍼をしてほしかった。


など、様々でした。
また「次はいつ来られるのか」との問いを多く受けました。 症状のある方は鍼治療も受けてみたいと、おっしゃるかたが多かったと感じます。避難所生活も長期化し、 避難所だとしても「安定した」「継続した」つながりを生活に求められている印象を持ちました。 眠れず眠剤をほしがっている人がおおかったようにおもいます。部屋によって汚れていたり、寒かったのが気になりました。

-その他、治療を受けた方々からのお話や受けた印象-
・二人の方がマッサージ来ているのは知っていたが足が悪く付き添いの方がいないと行けないので
  困っていた時に往診に来てくれて良かったとの事。
・緊張したり環境が違ったりと理由は様々だが夜よく眠れないという方が多かった。
・往診時にマッサージを勧めてもあまり乗気ではないようだったが、いざ受けてみるととても身体が
  軽くなって気持よかったという方が3人いました。
・特に男性の方で自宅の片付け等で腰がつらい、痛いという方が多かった。
・教室は日当たりも良くそれほど広くないので温かいが体育館は暖房もなくとても寒いと言っていました。
・今後の事を考えるととても不安との事。
・子供達が誰かに甘えたがっているように見受けました。
・筋緊張がとても強く怪我等をしている様ではなかったが強い圧痛があった子供が二人いました。
・ほとんどの方が肩背部の筋緊張が強く押してもなかなか指が入っていかない方が多かった。
・マッサージ後は皆さん必ず強張っていた表情が緩み自然と笑顔になっていました。
・咳が続いている方が数人いました。
・数人の方が以前、鍼治療を受けた事があると答えていました。


4月になり少しずつあたたかくなってきたためか、感冒症状の方々は少なくなってきている印象を受けましたが、 津波の影響からくる粉塵の影響からか、のどの痛みや頑固な咳の訴え、目のかゆみや鼻水の症状などが多かったため、 漢方薬では桔梗湯・越婢加朮湯・小青竜湯などを12名の患者様に処方してきました。

【原発避難者の避難所である、福島県会津板下町川西公民館へ訪問】
当科鍼灸師(大学院生)渡部が3月21日から4月10日の間の土日を利用して、原発避難者の避難所である、 福島県会津板下町川西公民館(避難者数約160人)を訪問し、鍼・マッサージのボランティアを行ってきました(計7日)。
延べ52人の方々に鍼治療やマッサージを受けていただき、行く毎にリピーターが増えてきました。 先の見えない状況で不安が先立ち、ストレスからくる肩こり・腰痛・背部痛などの症状が大半でした。 施術後はすっきりしたという感想が多く寄せられ、次回の施術を希望される方々も沢山いらっしゃいました。

今後もボランティアを通じて少しでも避難所の皆様の体や心を癒すことができればと考えています。
(文責:高山真、神谷哲治、松田綾音、平野篤、渡部正司)

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